直近の相続税法の改正について、まとめてみました。
相続税の改正については、専門の税理士などにご相談ください。
相続税法の改正:配偶者の居住権
今までは配偶者は、被相続人が所有する不動産に亡くなる前から住んでいた場合でも、そのまま不動産価値を相続税の計算に含まれていました。こうなると受け取れる財産の額が少なくなり、将来不安を感じる方が多くいました。
今回の改正では、不動産に関する権利を2つに分けて考えるようになりました。
- 配偶者居住権(新民法第1037号から第1041号)
- 負担付きの所有権(子供や他の相続人)
このように権利を分けることによって、配偶者は被相続人に属した建物に居住した場合には、無償で使用する権利が与えられます。このように相続の受け取り額が軽減されることで他の財産も相続しやすくなりました。
配偶者にとって、登記上被相続人の所有であっても、長い間連れ添って一緒に作ってきた財産でもあります。
このような法改正で、配偶者の受け取れる相続額が増えることは、将来の生活の不安がかなり軽減されます。
亡くなって悲しいだけではなく、思うように財産が受け取れないなどによって将来の不安があってはいけません。
新しいこの制度では、相続財産の大半を占める不動産の家族間の争いを防止することと、配偶者にとって節税になるこです。これは配偶者にとって心強いものです。
相続税法の改正:遺言
いままで自筆証書遺言は、すべて自筆で手書きが条件でした。今回の改正で、添付する財産目録については、パソコンで作成されたものや通帳などのコピーも認められるようになりました。
自筆証書は、自宅保存になるケースが多く、紛失や書き換えなどのリスクもありました。遺言は相続では揉める原因になります。保管方法や偽造防止対策がとても重要なのです。
そこで今回の改正で、申請により法務局で遺言の保管ができるようになったのです。
相続税法の改正:特別寄与料
相続人ではない方(6親等以内の親族又は3親等以内の配偶者等)が、被相続人にたいして長年の介護などで貢献した場合は、その貢献に見合った額を受け取れるようになりました。特に長男の妻なのは、このような役目になっているケースが多く、いくら介護を献身的におこなっても遺産相続では、十分な評価がされてきませんでした。
2018年の法改正で、この特別寄与制度が導入されました。親族であれば、被相続人の介護や看護で貢献した人は、相続人でなくても遺産をもうらうことができるようになりました。ただし、受け取り方は、相続人より特別寄与料として、金銭の支払いを受けることになります。
金額としては、療養介護の日当×日数が目安です。
詳しい請求要件は次の通り
- 被相続人の親族であること
- 1の者が被相続人に対して介護や看護をしていたこと
- 被相続人の財産の維持・増加について特別に寄与していたこと
- それらの行為が無償だったこと
この制度の適用は2019年7月1日からで、対象はこの日から相続が発生した場合です。
相続税法の改正:遺留分
改正により「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害請求」に変更されました。
遺留分侵害(減殺)請求とは、被相続人がある特定の相続人等に遺産の大半を譲るという遺言を残している場合。
特定の者だけに遺産分配がなされた場合は、一定の範囲で法定相続人は、最低限の遺産を確保できる制度です。
相続財産は、残された家族の生活を保証するという意味もあるので、法定相続人は、最低限の遺産を受け取る権利があります。
遺留分を請求することができるのは、「配偶者」・「子」「父・母」のみです。遺留分侵害額を請求できる遺留分権利者が、相続開始又は遺留分の侵害する贈与等があったことを知った日から、1年間行使をしなかった場合は、時効により消滅します。相続を知ったときから、10年を経過したときも同様に取り扱います。
主な改正点は次の通り
- 生前贈与の持ち戻し期間を10年に
- 相続開始前10年以内につき参入されます
- 遺留分の金銭債権化
- 金銭のみで支払うことになりました。遺留分侵害額請求を受けた人は、一定期間の支払い猶予を受けるために家庭裁判所に申し立てがdけいるようになりました。
- 不相当な対価による有償行為の減殺のケース
- 不相当な有償行為は、遺留分請求の際に、遺留分算定の基礎額に参入され、遺留分権利者は、不当対価に対して償還が必要でした。
改正より、対価の償還は不要となり、不相当の対価を負担付贈与としてみなし、差額分の参入がされるようになりました。
- 不相当な有償行為は、遺留分請求の際に、遺留分算定の基礎額に参入され、遺留分権利者は、不当対価に対して償還が必要でした。